7月21日










「なあ、一つ頼みがあるんだが」

そうポルナレフが言い出したのは、ベッドに運ばれた時。
唇を重ね、互いの息を絡ませ、纏うものを払い落とし、後は求めるまま求められるままに熱を貪り合うだけの、そんなタイミング。

が自分でシてるとこ、見せてくれないか?」

は一瞬意味を図りかねて、ベッドの上だということも忘れてきょとんと目を瞬かせ。
直後、顔から火が出る勢いで熱が集まるのを感じた。

つまり、なんだ。
ポルナレフは、が自慰をする様を見たいと、そう言っているのだ。
自分の前で、やってみせてくれと。

「そんなのっ……人前でやるものじゃあないでしょう!?」

思わず羞恥に駆られるままに声を荒らげ、伸し掛かる体を押しのける。
だが、その腕はやすやすと掴まれ、ベッドに押さえ付けられてしまった。

「……人前じゃあなければ、もするんだな?」

のけたばかりの胸を再び合わされ、覆いかぶさるように覗き込んで来る、情欲に濡れ蠱惑的な色を宿す撫子の瞳。
その双眸に捕えられると、思わず反論も忘れる程に魅入られてしまい。

目の前で、彼のふっくらとした唇が、にい、と笑みの形に歪み。
そのままの唇へゆっくりとキスを落とした。

上唇を軽く舌先でくすぐられ、条件反射で薄く口を開いた所へ、より深いものがもたらされる。
こちらの全てを奪うような激しさ。
舌を吸われ、ぞくりと身を震わせる間に、腕の拘束を解いた手が肌の上を辿り始めた。
触れる指先の温かさに、無意識にほうと息が漏れる。

「ジャン……」

自由になった腕を彼の背に回し、熱をねだる。
質の悪い冗談に、僅かでも興を殺がれた分を取り戻すように。
深く愛してくれという意思を込めて、すりと甘えるように頬を寄せて。
ふと、彼の動きに違和感を覚えた。

胸の膨らみを手のひらに包み、ゆるく揉みしだいた後、頂を軽く掠めた指はそのまま腰回りへ。
脇腹をくすぐられ、身を捩った拍子に生じた内股の隙間に手が滑り込む。

指が探るのは、の体の奥深く。
既に受け入れる準備が整い、甘く潤うその場所のごく浅い部分をくるりとなぞる。
は押し開かれる感覚に息を呑み、その先に続く快楽を焦がれて一つ胸を高鳴らす。

が、ポルナレフの指はそれ以上進められる様子はなく、浅い挿入を繰り返すばかり。
愛撫する手つきはいつもと変わらないのに、どこに触れるにしても決め手に欠けた。
その癖、思わせぶりな触り方をしてくるものだから、身の内に宿る情欲の火はじりじりと燻り続けたままだ。

「ねえ……?」

もどかしいと伝えたくて、声を掛けて窺い見た彼の顔。

「ここから先は、自分でやってみな」

返ってきたのは、優しく突き放すような言葉。
欲の奥に、僅かな加虐心をちらつかせる目。

最後に一度、折った指で内壁を軽く引っ掻いてから、惜しむようにゆっくりと引き抜かれる。
その刺激に仰け反る間に、

「おれがまだ見たことのないを見せてくれよ」

囁く声を耳に残して、ポルナレフの体が離れていく。
は呆然としてポルナレフを見、そして気付いた。

目の前で自分を慰めてみせろといった彼の言葉が、決して冗談ではなかったことに。

それを口にした後にポルナレフが触れてきたのは、を後に引けなくする為。
煽るだけ煽られた熱は、を体の奥からじりじりと焼き苛む。
すぐにでも解き放って欲しいのに、その役目を担う筈の彼は既に見物の構えを取っている。
なだめすかそうがねだろうが、今の彼はこちらが望むものを与えてはくれないだろう。
彼の願いを聞き届けるまでは。

堪えてやり過ごすには、快楽の衝動は大きくなりすぎている。

欲と羞恥。
彼我の理性。
熱に浮かされた頭で秤にかけて、は息を呑み。

そっと、己の秘部に震える手を伸ばした。










別件で書いてたものですが、内容が丁度いい気がしたもので。
7月21日=0721=オナニーの日。ということで。

これに加筆したR18と、もう一本別の全年齢ストーリー夢本を、10月か11月のジョジョオンリーに向けて
作成したいと思っております。
3部アニメが終わってしまった喪失感がひどくて、何か形に残したいと思ったんです…。
落とさないよう頑張りますので、見かけた際はどうぞよろしくお願いします。



2015.7.21
目録