背中に固く冷たい壁の感触。
前には熱く包み込むポルナレフの体。
「やっ、ジャン……!止め、ぁっ!」
二つの間で身動きが取れないまま、は己の口から嬌声が漏れるのを止められずにいた。
外出から戻ってきた直後、玄関を閉めると同時に壁際に追い詰められた。
驚く内に着衣を乱され、抵抗する間も与えられずに触れられ、解され。
壁を支えに立った状態で、強引に体を開かされたのだった。
抱え上げられた片足がびくりと震える。
足を大きく広げられたことで露わになった秘部に打ち込まれたものがぐちゅりと中を掻き回す。
滑りを得て深い所を抉られる度に、の体は素直に反応を返すが、頭の方は未だ状況に理解が追い付いていない。
思考を掻き乱す快楽から一旦距離を置こうと、ポルナレフの胸元へ申し訳程度に添えた手は、押し返すよりも早く掴み取られてしまった。
両の手首を片手一本でまとめ上げられ、頭上で壁に縫い留められる。
「嫌じゃあない」
密着し、頭上から降らせるように吹き込まれた声は荒く乱れていた。
耳を擽る熱さに身を竦めると同時、最奥を埋めていたポルナレフのものがずるりと引き抜かれる。
内壁を擦られる刺激が背すじを駆け上り、仰け反った拍子に甘さを含んだ声が零れた。
「正直に言ってみな?」
仰向いた視線が、こちらを見下ろす目とかち合う。
上気しうっすらと汗ばんだ頬。
昂りからか、深い色味を宿している青の瞳。
その奥に、普段とは違った狂暴な気配が潜むのを感じ取り、はひやりとする。
「止めて欲しいのか?ここで止めちまっていいのか?」
手首の拘束が解かれ、掴んでいたポルナレフの手が顔に触れる。
熱に浮かされ目尻に溜まっていた涙を、その指先でそっと拭われた。
優しささえ感じるような触れ方。
流れるようにそのまま頬を撫でられた心地良さに、瞳の奥の気配に一度は固くした体の強張りを解きかけた途端、
「ふぁあっ!?」
じわり溢れる蜜を絡ませた彼のものに花芯をぐりと押し潰され、は甲高く甘い声を上げた。
緊張を解いた絶妙のタイミングで与えられた強い刺激に、床についていた足から力が抜ける。
がくりと落ちた体は、ポルナレフに片足を抱え上げられていなければそのまま床へ崩れていた所だ。
意思に関係なくがくがくと痙攣する体。
これが快感から生じた反応であることに恐ろしささえ覚え、は自由になっていた手でポルナレフの腕に縋る。
笑い含みの声がした。
「止めていい、訳がねえよな」
喉が震えて声にならない。
仮に言い返せる状態であったとしても、果たして「止めて」と言えただろうか。
言えたところで、この熱が沈静化するまで耐え切る自信など、到底今のにはなかった。
性急に事に及ばれた戸惑い以上に、情欲の熱が身の内を苛んでいる。
「っ、ジャ、ン……っ」
唇の動きで乱れた吐息を辛うじて音にする。
嫌じゃない。やめてほしくない。
焦らされる方が余程に、つらい。
そう口にすることを恥じる理性はとうに快楽の波に押し流されていた。
けれど内心とは裏腹に、体の方がいうことを聞いてくれない。
唇を動かしても声帯を空気が抜けていくばかりで、言葉を紡げなかった。
力の入らない体に鞭打って、近いのに遠い、ポルナレフの顔を見上げる。
俯いた彼の顔には影が落ちていたが、その中で青の瞳だけがぎらりと輝いていて。
「ああ、いい。言わなくてもいい」
おもむろに、厚みのある手のひらがの口を覆った。
触れられて咄嗟に顎を引くへ、ポルナレフは身長差分離れていた顔を寄せ、
「何言われようが、止めるつもりなんざねえんだ」
「ん、んっ!……ッ!」
眼前でにやりと笑うのを見るや、前触れなしに秘部を割り開かれた。
ためらいなく奥深くまで突き入れられた甘い衝撃に、手の下でくぐもった嬌声が上がる。
跳ねるの体を押さえ付け、ポルナレフは何度か深く長い抽挿を繰り返す。
「んんーッ!んくっ……んっ、んぅッ……!」
終わりがないとさえ思わせる快楽の波。
下腹部から生じる激しい水音と、どこか深い満足感を含ませた吐息が耳を打ち、荒い呼吸は熱さとなって肌の上を撫でていく。
それらが五感を通じて脳の奥にまで染み込んでくるような錯覚。
翻弄されるがままに喉を喘がせるが望むだけの呼吸も出来ず、頭がぼんやりとしてきた所で、ポルナレフが動きを止めた。
「その顔も、仕草も、声も」
口を覆っていた手が外され、その指先が頬を撫で、首筋を撫で。
胸の谷間を指が滑り降りた感覚に、は体を震わす。
「全部、おれのモンだ。他の男に見せてなんかやるもんかよ」
聞かせようとしているのか、違うのか。
独り言ともとれる呟きに、輪郭を失っていたの思考が僅かに像を結ぶ。
自然と溢れかえっていた涙で滲む視界を瞬きで振り払うと、何度目かポルナレフと目が合った。
青の瞳の奥に感じ取った、いつもとは違う狂暴さ。
の意思を聞こうともしない強引でいささか乱暴な仕打ち。
それらと、ポルナレフがたった今吐いたばかりの台詞が、ひとつの線で繋がった気がした。
「ジャン、それって……ん、」
もしや、と確かめようとした口を塞がれる。
この行為が始まってからの最初のキスだった。
ようやく与えられた柔らかな感触が、翻弄され消耗していたの心を癒していく。
薄く開いた唇に舌がするりと入り込んできた。
巧みに誘導する動きへもまた応じる内に、再び思考が崩れていくのを感じる。
ポルナレフの首へ腕を絡め引き寄せると、角度を変えてより深いキスが与えられる。
意識が唇へ向いている間に、一旦は止まった抽挿が再開された。
それはやはり少し乱暴で、気持ちよくも苦しかったが。
ポルナレフがそうしてくる理由に気付いた今となっては、多少の無理なら耐えよう、耐えられると思った。
全ては彼が自分を愛してくれているから。
今、彼の胸の内にある感情。
それは、きっと。
ポル夢始めて1周年記念リクエスト企画3つ目!
「ヤキモチを妬いたポルナレフが強引にヒロインを抱く話」でしたー大変お待たせいたしました!
町で男性に道を訊かれて、不用意に肩やら腰やらに手を回される夢主にヤキモチ発動とか。
そんな裏設定がありましたがお話の中で説明するだけ野暮だなと。
ということで嫉妬の理由は各々で補完くださいませ。
以上でリクエスト企画終了となります。リクエスト下さった方々ありがとうございました!
書ける限りポル夢増やしていきたいと思っておりますので、今後とも黒塚をよろしくお願いいたします!
戯
2016.6.11
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