買い物に行きましょう










 ジョースター家との因縁を持つ相手、DIO。
その男が待ち受けるエジプトを目指して、西へ西へと向かう旅の途中。
今日の宿と決めたホテルの一室で、ジャン・ピエール・ポルナレフは備え付けのベッドへ背中から倒れこんだ。

ベッドの足元へ先に放り投げておいた荷物が、倒れこんだ反動であらぬ方向へ跳ねていく。
スプリングの利いたベッドは、滑らかな肌触りのシーツと相俟って心地よい感触でポルナレフを包み込んだ。

ちょっとした至福の時を体全体で味わいながら、うんと伸びをする。

「あー……長いこと運転してると肩が凝るぜ……」

今日の出発からホテルに着くまで、その運転の殆どをポルナレフが務めていた。
お陰で背中から肩にかけて筋肉が張っているし、目への疲労もクるものがある。

ベッドに転がったまま目頭を指で揉みつつ、この後どうするかを少し考えた。

少し仮眠を取ろうか、それとも先に旅の汚れを軽く落とそうか。
睡眠とシャワー、どちらを優先するか。
目を閉じたまま、己の体に尋ねる。

「……ん?」

答えが出る前に、ふ、と意識が眠りの淵に落ちかけた瞬間。
さして広くない部屋に、控えめにドアをノックする音が響いた。

一体誰だってんだ、折角良い気持ちでいたのに。
急な訪問者に、半分寝ていた頭はぶちぶちと文句ばかりを垂れ流したが、

「ポルナレフ、いる?」

ノックに続いて聞こえてきた呼びかけに、眠気に霞んでいた頭が一気にクリアになる。

重たかった瞼をぱっちりと持ち上げ、弾みをつけて体を起こす。
寝転んでいたせいで少し崩れてしまった自慢の髪型を、申し訳程度に手で軽く撫で付け足早にドアへ。
そしてその向こうにいるであろう人物の姿を思い描き、ドアを開けた。

「よお、!どうした?夕飯にはまだ早いだろ」

声をかけると同時、今日一番の笑顔を一つ。
向けた先には、ポルナレフの胸元辺りまでしかない背丈の女性が立っている。

ポルナレフ渾身の笑顔につられるように、自身もまた笑顔の花を咲かせたがそこにいた。

「ごめんなさい、休んでた?もしかして起こしちゃったかな」
「ノンノン、そんなことないさ。どうしてそう思う?」
「今日ずっと運転してたでしょ。疲れてるだろうし……それに頭。セットが乱れてる」

言い指されたタイミングを見計らったように、前髪が一房はらりと落ちた。

「ああこれ?気ぃ抜いてると勝手に落ちてきちまうんだ。それに運転の疲れぐらいだったら、
可愛い子の笑顔一つ見せてもらえりゃあっという間に吹き飛ぶさ」
「もう、すぐそう適当なこと言うんだから」

落ちた髪を撫で上げながら、気遣わしげな視線を冗談交じりに受け流せば、さもおかしそうにが笑う。

笑顔で疲れが吹き飛ぶというのは、半分冗談で半分本気だ。
やっぱり野郎と顔を突き合わせるよりも、女の子を見ていた方が何倍にも癒される。
多かれ少なかれ、他の面子にもそういう思いはあるに違いない。
男だもの。

「これから少し買い物に出ようかと思ってて、ついでにお使いがないか皆に聞いて回ってる所なの。ポルナレフは何かある?」

笑いを収めつつ、が来室の目的を切り出した。
身長差から自然に上目遣いになる眼差しに促され、そうだな、と顎に手を当て考える。

身の回りの物に不足はないし、携帯食料などは前の町でジョースターさん達が買い足していた。
特にこれといって必要なものはないか、と思いかけて、ポルナレフはふと背後を振り返った。

未だ日没には早い日差しを取り込む窓を思い出す。
ドアの前に立つこの位置からでは視認は出来ないが、傍に寄れば街並みを見渡せる筈だ。

「そういえばさっき、タバコを切らしちまったんだよなあ」
「タバコね。銘柄は何?他にも欲しいものは?」
「待て待て慌てるな、俺も一緒に行くよ」

え、と戸惑いの声を上げるをよそに踵を返し、一旦部屋へ戻り荷物を漁る。
引っ張り出した財布を尻ポケットに捩じ込むついでに、今意識に上らせたばかりの窓辺へ寄った。

小さく見える人の頭が、右へ左へと街並みを行き交っている。
夕食時を控えて地元の人間が買い物に出てきている為か、ホテルに到着した時よりも人通りが増えている気がした。

旅の空でもあり、当然ながら土地勘はない。
人通りが多く土地勘のない場所を女性一人で歩かせるのは、ポルナレフにとって許容できるものではなかったのだ。

の返事は聞いていないが、例え否と言われても強引についていくつもりであった。

ドアの前へと戻り、展開を追い切れずきょとんとしているの肩へ手を回す。

「さ、行こうか。マドモアゼル」

ポルナレフを向いていた体を反転させて、外に向かってエスコートしつつ、本日の決め顔を一発。
ぱちりと合ったの目は、きょとんとしたまま一つ瞬いた。





 一通りの買い物が終わって、ホテルに戻る道すがら。
ポルナレフの手には、「そんなに重くないから」と遠慮するから半ば強引に引き受けた買い物袋が提げられている。

「本当に良いのに……それ殆ど私の荷物だし」
「君が荷物持ってる横で俺が手ぶらじゃあ格好つかないだろ。いいから気にするなって。
あー……日本じゃこういうんだったか?男のカイショー」

のんびりとした歩みの中で、は何度か荷物の奪還を挑んできたが、ポルナレフはその度に色々なパターンのお断りでその手を退けた。
今回は日本の知識を披露するパターンである。

「甲斐性……って、何でそんな言葉知ってるの?」
「ジョースターさんから教わった」
「……あの人も妙なこと知ってるのね」

知識の出所がジョセフ・ジョースターだと分かるや、は納得しながら笑った。
こうして笑っている所を見ると、もこの旅に大分慣れてきたのだと実感が湧く。


が旅の一行に加わってからの日は浅い。
元々はDIOにより植え付けられた肉の芽に洗脳され、刺客として現れたのがポルナレフ達との出会いであった。

襲撃をかわし、肉の芽を取り除いてみると、はDIOに洗脳される前後の記憶が欠落してしまっていた。
DIOと遭遇するより前、自分は何処で何をしていたのか。
蒼褪める彼女から聞きだせたのは、という名と日本人だということのみ。

はスタンド使いではあったが、スタンドは精神の具現化。
記憶のない不安定な精神状態では、有事の際どれほどの力が発揮できるか。

DIOからの刺客がいつ彼女に向けられるかも分からない。
ここはの安全の為、この件に決着がつくまではスピードワゴン財団に保護を頼もう、ということで話は一旦まとまりかけたのだが、

『私は早く、自分が何者であるか知りたい』

自然に記憶が戻るのを悠長に待ってなどいられないと、自身がそれを拒否した。
その意思は頑迷なまでに固く、このまま強引に財団に預けたとしても一人でDIOのいるエジプトまで向かうのでは、と思わせる程。

自分たちの知らぬ所で危険に飛び込んで行かれるよりは、傍に置いて共にDIOを目指した方が幾分か精神衛生的によろしい。
そう判断した一行は、止むを得ずを旅の仲間に加える事にしたのだった。


記憶がないというのは不安も大きいのだろう。
旅に加わって初めの頃のは、ふと気付くと険しい顔で足元を見ている事が多かった。
ポルナレフはその表情を見つけたら、その都度努めて明るく話しかけるようにした。

難しく考える事はない。
思い出せないだけで失った訳ではないのだから、時間がかかったとしてもいずれきっと取り戻せる、と。

その気配りの賜物か、今やは先の通り、自然に笑えるまでになっている。

不安が消えた訳ではないだろう。
それでもポルナレフはその笑顔に安堵し、また好ましくも思っていた。
基本的に、自分でも他人でも難しい顔をしているよりも笑っていた方が、ポルナレフの性に合っているのだ。

道沿いに開かれた、ドリンクを扱う店の前を通った時、ポルナレフはふと喉の渇きを覚えた。
ホテルを出てからここまで、に話しかけるばかりで喉を潤していない事に今更ながら思い至る。

足を止め、先に行きかけるを呼び止め、何か飲まないかと提案した。

「何がいい?奢るぜ」
「えー……」
「遠慮はナシな。大人しく奢られとけ」
「う。……じゃあオレンジジュース」
「ウイ。ちょっと待ってな」
「じゃあその間私が荷物を」
「持たせませーん」

隙を突いた荷物奪還作戦も華麗にかわし、店先へ足を向ける。

店員の男へ声をかけ、と自分の分のドリンクを注文して待つ事しばし。
ストローを刺したカップを二つ差し出す店員へ、数枚の硬貨を支払う。

「彼女さんとデートかい?羨ましいねえお客さん」
「そう見えてんなら嬉しいね」

カップ越しにじんわりと伝わってくる冷たさを手の平に感じながら、応対もそこそこに新のもとへと引き返し。
いつの間にか新の向けていた眼差しに気付き、おや、と目を丸くした。
はドリンクを買うポルナレフを見ていた。
けれどその目は、ポルナレフを見ているようで見ていない。
ピントは別の所にあるようで、どこか茫洋としたした印象を与えてきた。

「たまにその目、するよな」

傍に来ても変わらず見続けてくるへ、頼まれたオレンジジュースを差し出しながら声をかける。
そこでようやく我に返ったようで、大きく見開かれた目がポルナレフの目を捉える。

いつの間にか傍にいたポルナレフ。
目の前に差し出されたカップ。
その間で戸惑ったように視線を漂わせ、それからぽつりと礼を口にしつつ、はぎこちない動作でカップを受け取った。

「その目って……どんな目?」
「んーそうだな……ぼーっとしてるっつーか、夢でも見てるっつーか」

旅を共にするようになってから、この眼差しには何度か遭遇している。
店員の冷やかしよろしく、それが愛だの恋だのに絡んだものであれば、話は簡単だったのだろうが、

「聞いてもあんまり面白くないと思うよ?」

困ったように前置くの表情を見ていれば、そういう感情が眼差しの理由ではないとすぐに分かる。

ポルナレフは「話してみろ」と手振りで促した。
そうしながら、足はゆっくりと帰路を辿り始める。
考え込むより歩きながらの方が、探しやすい言葉もあるだろう。
促されても未だ言葉を探しあぐねている様子のへの、ポルナレフなりの配慮だった。

「んー……と、ね。私、ジョースターさん達と会う前の記憶、全然ないじゃない」
「おう」
「でもね、ポルナレフを見てると、たまーにだけどね、何か思い出しそうになることがあるの」

ゆっくりと考えながらそこまで言い切ると、間を取るようにストローへ口をつける。
ポルナレフはその横顔を、思わずまじまじと見つめた。

「おれ?」
「そう。デジャヴ……とは違うのかな?とにかく、頭をちらっと何かが横切るんだけど、それが何なのか分からない」
忘れてしまったものの片鱗。
ようやく見出した記憶の糸口を逃すまいと、懸命に頭の中を追いかける。
その時に出てしまっていたのがあの表情なのだと、は言う。

目はポルナレフを追いながらも、意識は自分の頭の中。
見ているようで、見えていない。
成程、ぼんやりとして見えた訳だ。
ここしばらくの疑問が解けて、ポルナレフは思わず「成程な」と声に出してしまっていた。

納得した様子をちらりと見上げて、は自分の喉元を手でとんとんと叩く。

「いっつもこの辺まで出かかって、でも後ちょっとの所で思い出せなくて。
気に障ってた?煩かったなら謝るわ」

苦笑しながら、極まりが悪そうに肩を竦める。

何を謝る必要があるのか。
ポルナレフは怪訝に思った。

理由が分からず気になっていただけで、これまでその目を煩わしく感じた事はない。
記憶を失った試しがないので、の気持ちの全てを汲み取れはしないが、想像するには容易いその胸中の不安を蔑ろにしてまで、
なお迷惑だなどと誰が言えるものか。

ポルナレフはおもむろに足を止めた。
一拍遅れてが立ち止まるのを待って、持ち前の明るさを最大限に活かしながら言い放つ。

「そういうことならいくらでも見てくれよ。けど案外、難しい顔して考えるよりも笑って気楽にしてた方が、
記憶も早く戻るかも知れないぜ?」
「……そうかな?」
「かも知れない、だ。まあ、が笑ってるのをずっと見ていたいって願望も込みのアドバイスではあるけどな」

言葉尻にウインク一つ。
向けられて、は驚いたように目を丸くする。

凝立したの間近まで寄って、ポルナレフはその目を覗き込んだ。

「他には、そうだな……喉元まで出かかってるモンなら、後は直接吸い出しちまえば早いかもな?」

無防備な口元へは、自分のドリンクのストローを触れさせる。
たったそれだけのアクションだったが、記憶はなくとも頭の回転は悪くないならば分かるだろう。

今の台詞とアクションに、どんな意味が含まれていたのか。

ただし本気で言ったつもりはない。
これまでの会話にも散りばめてきた、挨拶程度の口説き文句と一緒だ。

言われたが笑って受け流す。
が笑えるようになるまで根気強く続けた、ある種お決まりのパターン。
今や二人の間にすっかりと根付いたコミュニケーションの方法だ。

当然、予想する答えが返ってくるものだと思っていた。
少し驚いてから、「すぐ茶化すんだから」と笑う。
その反応を、ポルナレフは手に取るように思い描けていた。

だが。

「……おい、どうした?」

常なら笑顔が返されるだろうタイミングを過ぎてもの反応がなく、ポルナレフは戸惑った。

は変わらずポルナレフを凝視し続けている。
何かやらかしてしまっただろうか。
固まってしまったが途端に心配になり、口に触れさせていたストローを離して顔色を窺う。

自由になった唇がぎこちなく動いた。
そして紡がれる、

「……ドン引きした……」

真っ直ぐ見据えられた状態で、間近から届けられた言葉。
それはノーガードだったポルナレフの心をさっくり軽やかに刺し貫き、

「……なっ、な、な、なにィーッ!?」

思わず仰け反るように叫んだポルナレフの手から、は荷物を取り返し、

「先、帰ってるね……」

困惑するポルナレフを置いて、ホテルへの道を小走りに駆け去っていく。
引き止めようとしたが、困惑しすぎて声が出て来なかった。
申し訳程度に伸ばした手も空を切り、ポルナレフは一人、途方に暮れたようにしばらく立ち尽くしていた。





 コンコンコン、とノックを数回。
中から入室の許可が下りるのを待って、はドアを開ける。

自分に割り当てられた部屋とさして変わらない間取りを突き進むと、備え付けの椅子に腰かける老人が一人、新聞を広げていた。
齢七十に差し掛かろうとしているとは思えない程逞しい体躯のその人は、この旅における最年長者ジョセフ・ジョースター。

が近づくと、ジョースターは新聞から顔を上げた。

「お帰り、くん。欲しい物は買えたか……ね……?」

精悍でありながらどこか愛嬌のある顔が、を見てぽかんと口を開ける。
何か物言いたげな表情であったが、はそれを黙殺し、つかつかとジョースターの対面へと歩み寄った。

テーブルを挟んで反対側、部屋に備え付けの開いているもう一方の椅子へすとんと座り。

ゴンッ

と派手に鈍い音を立てて、額をテーブルへと打ち付けた。
形だけ見ると、テーブルに頭を擦り付けてジョースターに物を頼んでいるような姿勢だ。

視界から外れた所で、新聞を握り潰すような音と気配がした。
そのまま顔を上げもせず数秒。
額を中心に、じんわりと熱っぽい痛みが広がる。

「……い、一体どうしたんじゃ……?何かあったのか?」

おそるおそる、といった調子で、気遣うような声を掛けてくれる。
驚かせてしまったようで申し訳なく思ったが、しかしこの心境を言葉として彼に伝えるには、まだ心と頭の準備が足りなかった。

「わしの所に来たということは、何か聞いて欲しいことがあるんじゃろ?ほれ、ゆっくりでいいからこのわしに話してみなさい」

平素からムードメーカー的役割を担い、その軽いノリは孫の承太郎からも時々呆れられる人だが、こういう話の引き出し方はさすが年長者といった所か。
少し椅子の位置をずらしての傍に寄り、晒しっぱなしの背中をポンポンと軽く叩いてくれる。

手のひらから伝わる温もりに、胸の奥にぐるぐると蟠る何かが次第に宥められていき。

冷静さが戻るのと同時にを襲うのは、一つの強烈な感情。

「は……恥ずか死ぬ……」
「はずかし……?おいどうした新、耳が赤いぞ」

急激に熱を持ち始めた耳をジョースターから隠すように、テーブルに突っ伏したまま手で覆う。
こみ上げる感情に耐え切れずやむなく取った姿勢だったが、お陰で体裁の悪さを晒す事態を防げている。

感覚で分かる。
きっと今の自分は耳だけでなく、顔まで赤くなっている。
そんな姿を誰かに見られるなんて、例え相手がこの老人であっても絶対に嫌だ。

「何でああいうことさらりと言えるの……あのフランス人……」

火照る頬をテーブルで冷やしながら、は先の出来事を思い返す。

見るというのは意識する事。
初めは不思議な既視感から記憶を辿る為だった。
しかしそれを続けている内に、気付けばあの感覚がなくてもポルナレフを目で追っている自分がいた。

恐らくはまだ付ける名もない感情。
それを向ける相手に、息をするように自然な動作であんな事を言われては、こちらの息が止まってしまうかと思った。

『後は直接吸い出しちまえば早いかもな?』

可愛い子。
女の子。
今まで不特定多数に当てはまる言動をしてきたポルナレフが、初めて対に向けた口説き文句。

ポルナレフにとってはこれまでのやり取りの延長線上にある言葉でも、にしてみればこれ程衝撃的な事はない。
冷静さを失ってつい暴言を吐き逃げ出して来たが、ポルナレフを傷つけてしまっただろうか。

「後で謝らなきゃ……あああでも待って今は無理……!!」
「フランス人……ま、まさかポルナレフか?ポルナレフに何をされた!さあ話すんじゃ!」

の懊悩が旅の仲間ポルナレフにある事を察したジョースターの声色が変わる。
言葉選びは切迫しているが、その響きはどこか楽しそうだ。
きっと「良い話のネタを見つけた」ぐらいに思っているのだろう。

先程まで宥めてくれていた手が、話の続きを寄越せと言わんばかりに肩を揺すってくる。
その遠慮の無い接し方に、どこかほっとする自分がいる。
けれどほっとするのと話せるようになるのは別問題だ。

は今しばらく、ジョースターの詰問に翻弄されながら、苦悶の呻きを上げ続けるのだった。





一方。
に遅れてホテルに帰ってきたポルナレフが、花京院の部屋に転がり込み、

「おれの何がいけなかったんだ花京院……」
「日頃の行いと口の軽さとどストレートな性格じゃあないか」
「ジャパニーズガール……ヤマトナデシコってのは難しいな……おれァに嫌われたかも……」
「己を省みる良い機会だろう」

が逃げ出した本当の理由など露程も思い至らずひたすら落ち込み、
花京院の忍耐が限界を迎え部屋から叩き出されるまでぶちぶちと後ろ向き発言を繰り返していたのだが、それはまた別のお話。











かつて夢アンソロ企画が出た時に寄稿したもの。
結局本は発行されず立ち消えとなってしまったので、今更ですが公開してみます。
ポル夢書き始めの頃のもので色々ふわふわしてますが何卒ご容赦を。



2017.4.13
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