組み敷いた体が跳ねる。
脇腹に手を這わせ、撫で上げ、辿り着いた膨らみを柔らかく包み込む。
張りのあるそこへ僅か指が沈み、押し返してくる感触が心地良く、無心に手を動かしている内にふと、
その小さな頂がふくりと立ち上がっていることに気付いた。
指を伸ばし、掠めるように触れ、そのまま転がすように擦れば、頭上から鼻にかかる甘い吐息が漏れる。
相手もこの行為を心地良く感じている。
吐息ひとつでそれが分かり嬉しくなる反面、にわかに沸き上がる悪戯心。
片方をやや強めに摘むのと同時に、もう片方を口へ含み吸い上げると、思わずといった様子で上擦った声が上がった。
「ちょちょちょ、ちょっと待て!」
顔を両手で挟み込まれ、強引に上向かされる。
唇が離れた拍子に引いた銀糸が切れるところを見届ける間もなく、目に飛び込んできたのはジャンの顔。
色白の肌は仄かに赤らみ、特に目元などは熱に潤む瞳も相俟って、普段とは違う艶を放っている。
「なあに?」
「なあに、って」
顔を包む手に手を添えて、小首を傾げて空とぼければ、目を泳がせて言いにくそうに口ごもる。
いつもこちらの目を真っ直ぐに射抜き、優しく力強くリードしてくれる彼が、余裕をなくして慌てている。
常にはないその姿が非常に新鮮で、言い得ぬ感覚がの背すじを這いあがっていく。
体を起こし、顔を近づける。
覗き込んだ瞳は欲に濡れた深い青色をしていた。
「好きにさせてくれるっていったのは貴方でしょ、ジャン?」
唇が触れる程の距離で、先程彼がした発言を繰り返してみせる。
ベッドへ連れられ、彼で満たされるひととき。
多幸感と安らぎの最中で胸元に収まる新を見て、ぽろりとこぼしたのがその言葉だった。
その場の雰囲気かただの冗談か、いずれにせよジャンにとっては何の気なしに言ったものだったのだろう。
それがのスイッチを押してしまうとも知らないで。
「触ってみるか、とは訊いたがよ……」
の眼差しを気にするジャンの歯切れの悪い言葉を、唇を重ねて封じる。
ふっくらとしたジャンの唇を自身のそれで食んで軽く吸い、わざと音を立てて離した。
「好きにさせてはくれないの?」
遮った視界の向こう、晒されたままの彼の腹部を撫で上げた指先にひくりと震える感覚が伝わる。
一度は凪いだ情の火を、再び燃え上がらせるにはそれだけで十分だった。
「……っ、後で覚えてろよ」
反った喉が堪えるように鳴り、そしてやや恨みがましい眼差しが向けられ。
をとどめていた両の手が、そこから先を許可するようにシーツへと投げ出された。
ポルナレフっぱいには愛が詰まっています。
忘れた頃に続くかも知れません。
戯
2019.5.29
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