終夜(よもすがら)
ぐちゅりという水音、あえかな吐息を聞く。
離れた位置にある燭台の頼りなげな灯りに照らされる白い肌を腕の中に見る。
掌には女性特有の柔らかな素肌の感触。
滑らかな肌質に一種の快さを覚えながら、胸元に添えた指先でそこにある突起をつまむと、腕の中からくぐもった声が漏れた。
「んんっ…とめ、くっ…それしないで…っ」
「嫌か?今また濡れてきたのに?」
「んくっぁっ…っ」
背後から伸ばしたもう一方の手の指は既に秘部へと埋められており、焦らすようにゆるり動かすとびくりと反応し、新たな蜜が溢れ出した。
触れ合う肌で互いの熱と心音を聞く。
留三郎の眼前にはしっとりと汗ばんだの首筋が晒されている。
普段少年のような格好で色気も何もないだが、そこからは匂い立つような色香を覚え、
留三郎は吸い寄せられるようにそこへ顔を埋め、わざと音を立てて吸った。
「やんっ!?…っ!」
刺激と音に反応し、思わず上がった己の声に驚いたか、ぱっと口を押さえる。
拍子に閉じた両足で締め付けられた腕への圧力に、留三郎は満足げに笑みを浮かべ。
同時に湧く罪悪感を、深い溜息と共に吐き出した。
ごめんな
事の最中に謝罪も何もないと思うが、それでも謝らずにはいられなかった。
夜、ふらりの部屋を訪ね、ぽつぽつと話をしている内にそれらしい雰囲気になり、戸惑う腕を引いて今に至っている。
この一連の流れが、実は「実習の一環」だという事を、留三郎は告げられずにいたのだ。
先日行われた閨房術の授業。
そこで出された課題を、次回授業時までに実践する事。
そんな課題が出た事で、どこで実践するかというのが、六年生の話題に上ったのだ。
茶屋など町に下りる無難な意見の他、くノ一を相手に、というものもあった。
その中でふと、
『も女ではないか』
言い出す者があった。
町に下りるよりも手近だし、くノ一よりも恐ろしくない。
忍術に関しては全くの素人であるから術にもかけやすい。
化粧っ気も色気もないが女であるし、課題には向いているという事で、ちょっとした争奪戦が起こり。
何やかんやあって、留三郎がを相手に課題を行う権利を獲得したのである。
仄かな恋心、までもいかない。
少なからずの事を好ましく思っていた留三郎は、もし男女の関係になるにしても、勢いに任せて事に及ぶつもりはなかった。
が、時の巡り合わせの皮肉な事に、の素肌に手を這わせているのが現状である。
しかもは、留三郎が事に及んだ理由が課題にあるとは露程も知らない。
忍者の強かさを知らないにつけこむ形になっているのだ、罪悪感から来る溜息も仕方がない。
けれど、それはそれとして。
「ん…とめくんっ…」
考え事をしていたせいで手が止まっていたらしい。
聞いた事もない、鼻にかかる甘い声で名を呼ばれ目を向けると、が仰ぎ見てきていた。
熱に浮かされ潤んだ双眸、赤く染まる目尻、僅か開いた口から覗く舌先。
谷間の向こうには白い腿が見え、その間には己の手が差し込まれている。
こんなに乱れた姿を見せられて引ける程、留三郎は大人ではなかった。
起きてしまった事は仕方がない。
寧ろ据え膳食わぬは何とやら、という事で、現状を割り切る事にしたのだった。
課題に使ってごめんな その代わりうんと愉しませてやるから
そんな代案が受け入れられるかどうか、そもそも口に出していないので分からないが、ともかくも手を進める。
「焦れたか?」
「そういうんじゃ…あっ」
身動いだタイミングに合わせ体を離すと、支えを失ったはころりと仰向けに倒れた。
突然景色が変わって目を丸くする、その上へと覆い被さる。
白い腿の間に体を滑り込ませ、片手に指を絡めの頭上で固定する。
遮るものが何もないの裸体を留三郎はじっと眺めた。
それまで指で探るのみだった秘部までもが明らかとなっており、知らず喉が上下する。
「や…やだっ…あんまり見ないで…!」
視線に耐えきれず足を閉じようとしても、間に留三郎の体がある為ままならない。
手を押さえこまれているので体を丸めて逃げる事も出来ず、
最終的には自分が顔を逸らし留三郎の姿を視界から外して解決を図ろうとした。
拙い抵抗につい笑みの零れた顔を、体を折ってへ近づける。
「見ないと、色んな事できないぞ?」
「色んな事って…」
「…こういう事」
「!ひっ…ああっ!!」
「…とか?」
落ち着いてきたを再び乱すように、躊躇無く秘部へと指を突き入れる。
そのまま指で中を強く掻き混ぜると、の身体が弓なりに仰け反り、柔らかな胸が留三郎へ押し付けられた。
閉じるのを忘れられた口からは嬌声と銀糸が伝う。
秘部から駆け上る快楽に必死に耐えているのだろう。
その媚態と肌への感触に、下腹部へ熱が集っていくのを否応にも感じる。
悶え左右に振られる首に唇を這わせ、上り、の口を塞ぐ。
くぐもった声が己の口の中に伝わり、それすら吸い取るように、強く舌を吸った。
するとの体から力が抜けたので、そのタイミングを狙い、秘部でくの字に曲げた指をぐるりと回した。
「んむぅっ…ぅんんーっ!…っ」
力の抜けた体への強すぎる刺激に、の腰が揺れ、体が震える。
頂が近いのだ。
それを悟った留三郎は、きゅうきゅうと締め付けてくるの中から一息に指を引き抜いた。
ほぼ同時に唇も離す。
半端に開いた口から下が追いかけてきて、留三郎とを銀糸で結んだ。
「ふぁっ…あ、ぁ…」
「大丈夫か……」
「やぁぁ…とめ、くん…とめくんんっ…!」
先程逸らした筈の目は、焦点が定まらないながら留三郎を捉え、とめどなく涙をこぼしている。
甘く切ない声音で名を呼ばれ、空いている手を差し伸ばされると、
掻き抱いて一思いに貫いてやりたい衝動に駆られるが、ここはぐっと我慢する。
このまま溺れてしまえればいいのだが、忘れてはいけない。
これは課題なのだ。
「どうして欲しいか、言ってみな」
「あ…」
「俺に何をして欲しい?」
本来ならそんな問答をしていられる程余裕はない。
たとえ制止されても、己の屹立でを貫き思うが儘に翻弄してやりたい。
けれどそれでは課題達成とはならない。
故に限界ぎりぎりの所で理性を保ち、に問う。
「いじわる…っ!」
「意地悪して欲しいのか?」
「はぁ、んっ…っ!!」
恐らくそういう意味では無いだろう事を分かった上で曲解し、一層を焦らす。
下穿きから取り出していた己の屹立の先端で、の秘部をゆるりと擦った。
自分でやった行為ながら、その刺激に今にも弾けそうになるが、の方がより限界が近い筈だ。
どちらが先に音を上げるか。
根比べは、さほど時を置かずに結果が出た。
「頂戴…っとめくんのっ、ちょうだいぃっ…!!」
もはや泣きじゃくっているのその言葉に、留三郎は笑んだ。
その言葉をもって、課題を達成したからである。
閨房術の授業の課題は、「自分の望む言葉を相手から引き出せ」というもの。
情報収集術の一環として出されたものであろう。
そして課題が達成された瞬間、留三郎の根比べも終了となったのである。
「よく出来ました」
断続的に痙攣するの体をぎゅうと掻き抱く。
その圧に安心したか、ほっと息を吐くの口を軽く啄み。
互いに望む通り、一息に屹立を打ち込んだ。
「はぁっ…ぁ…っああああ…!!」
衝撃でが一度気を遣った事を、中の締め付けで知る。
奥へ誘い込むようにうねる内部に包まれながら、己の熱を吐き出したい欲を必死に耐えた。
痙攣を続ける体を抱き締めていると、の首筋が目の前に晒される。
喘ぎ震えるその曲線へ引き寄せられ、唇を寄せ、首筋から耳の裏までをねっとりと舐め上げた。
「ぅやっだめ…っ!!」
びくりと身を竦め逃げを打つ動きで、の胸の突起が留三郎の胸をくすぐる。
の中に包まれた感覚と相俟って、屹立へ熱がまた多く集まった。
「ひっ、あん…!!」
気を遣ったばかりの体で、己が飲み込んでいる物が体積を増す感覚は刺激が強すぎるらしい。
足を爪先までぴんと張り、中がきゅうと留三郎に絡みついてくる。
耐える為に力無く背に縋り付いてきた腕へ、満ちてくるのは征服欲。
涙に濡れたの目には、自然と上がってくる口角など映りはしないだろう。
耐える事に慣れてきたの中を、一度屹立で掻き混ぜる。
「あんっ!」
「愛いな…。……そろそろ動くぞ」
まずはゆっくり、半ばまで引き抜いてから、また深く差し込む。
の喉が反り返り、甘く高い声が上がった。
初めは慣らす為にゆっくりと抜き差しを繰り返していた動きが、次第に快楽を追い求め速さを増していく。
は一度気を遣っているが、留三郎の熱はまだ昂ぶったままなのだ。
己の限界が近い事もあり、どうしても性急にならざるを得なかった。
の中をこする度、激しい水音と体がぶつかる乾いた音が生じる。
今交わしている行為を否応にも連想させる音に、まるで耳から犯されている気分だ。
同じ感覚をも抱いているのだろうかと考えた所で、一際大きな波が迫ってくるのを感じる。
果てが見え、留三郎は己を追い込んでいく。
喘ぐ事に精一杯で、開けたまま忘れられていたの口に一度触れ、
「…」
「あっあっあっ…、ああー…っ!!」
屹立を一際強く打ち込んだ直後の中が激しく収縮した。
再び気を遣ったのだと、痙攣する体からも知れる。
引き絞るようなうねりに目の前が白む程の快楽を覚え。
その波に抗う事無く、留三郎は己の熱をの中へ解き放った。
落ち着いた頃、熱の散った己の物をから引き抜いた。
留三郎の腕の中で、はとうに意識を手放していたが、己を満たしていた物が抜け落ちる感覚にひくりと身動ぎ、鼻にかかる甘い声を漏らした。
留三郎の物が引き抜かれた秘部からは、互いの体液の混じり合った物がとろりと溢れ出た。
最初に熱を放った後も、行為は何度か続いた。
快楽に乱れるの姿に、屹立がその都度応じてしまったせいだ。
褥と互いの体を汚す物の多さにやりすぎた感を覚えながらも、留三郎に後悔はない。
今回は課題の相手にしてしまった為罪悪感があったが、課題を抜きにしても、をこの腕にまた収めたいと思ったからだ。
求めるの姿が、己を満たしてくれる事を知った。
「…」
呼びかけには勿論応えはない。
閉じられた目元には熱の余韻か赤みが残り、涙の痕が乾いて残っている。
そこへ一つ唇を落としてから、の隣に自分も身を横たえた。
白い肢体を引き寄せる。
肌の温もりが疲労した体へ眠気を誘う。
夜明けまでの僅かな時間、留三郎は仮眠を取る為目を閉じた。
裏とかえっちぃの書こうとするとフリーズするわたくしですが
むらむらっと来たので一気に書き上げましたよ留三郎R18夢でございました!
閨房術の授業で課題出る→六年で夢主争奪戦勃発→じゃんけんとか貸出カードとか牽牛子とか→夜ほー
ていう感じで六忍それぞれシチュ考えたりもしましたが留書いたら満足したった。
戯
2010.6.30
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