「生きたければ戦うことを覚えなさい。自分の戦い方を覚えなさい。ここはそういう場所だ」
真っ向から射捉える眼差しに、同情や憐憫の色はなく。
脅迫とも諭旨とも異なる、その声音はただ事実のみを淡々と語る。
私を生かそうとしてくれている。
利潤か、庇護か。
その行動の根底にあるものを汲み取ることは、今も昔も出来ずにいるが。
少なくとも当時の私は、その言葉を得て初めて、怯えて抱え込んでいた生への執着を、希望あるものとして認識した。
同時に芽生えたのは諦念。
枯れ落ちたのは未練。
置き去りとなったあの日々へはもう戻れないという思いが、胸の底に深く根付き。
そっと、目を背けるように思いに蓋をする。
向けられる目に、ひたと眼差しを合わせることで、承知と覚悟を示してみせた。
在りし日の記憶